BABYMETALの2018年を振り返る④
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【ユイメタルの異変】
5大キツネ祭り~BIG FOX FESTIVALにかけての映像やツイート写真では、確かに顔の輪郭や胴回りのシルエットはややふっくらしていたが、2015年末に激ヤセが心配された当時からすれば、むしろ彼女本来の魅力を取り戻した姿に見えていた。
しかし、ネット上の心ない書き込みは後を絶たない。もちろん、殆どのファンはそんなことを気にもしないが、そもそもBMの場合、ライブに足を運ばない(運べない)ネットオンリーの在宅ファンが多数を占める。世界的な人気と、ライブ全体のキャパを考えても物理的にそうならざるを得ない。
ネット上で「今度の曲はつまらない」「そろそろ飽きた」という書き込みが増えようとも、ライブは全てソールドアウトし、ワンマンはもちろん、フェス等においても実際のライブを体験したヒト達からの「酷評」というのを殆ど目にすることがない。
在宅ファンの中にも、ライブに行きたくてもなかなか機会が得られないヒトもいれば、CDやDVDを繰り返し見聴きする熱心なメイトもいる。一方、ネットに上がる動画やファンカムだけを漁っている場合もある(本来、自分もこのパターンだった)。つまりファンと言ってもその熱や楽しみ方は様々で、ネットで交わされる在宅組の書き込みには冷やかし半分のものや、メイト以上に熱心なアンチが存在するのも事実である。
TVを主体に活動するアイドルタレントなら、視聴率が出演頻度とギャラに関係してくる訳だから、冷やかしだろうが炎上目当ての野次馬だろうが、TVの前のお客様は神様なのだろうが、BMは全く違う。
BMの演出や運営のあり方に異を唱えて「ファンをないがしろにしている!」とネットで叫ぶ連中の99%は、ライブ現場にはいないのだ。これを果たしてファンと呼ぶべきか疑わしい。
そういった層による「最近また太った」「顔がパンパン」といった書き込みに加え、5大祭りの写真のユイメタルには「表情が云々....」という指摘も多かった。
単純におどけたような表情を作ろうとしただけだろうが、バックステージで撮られるKOBAのド素人ショットは、何度も撮り直したようなものでなく、手早く1枚パシャリとやった程度のものばかりだ。中には疲れきったような表情や明らかに笑顔を作り損ねたようなものまであった。それが、表情豊かなモアとの対比で悪目立ちしてしまっていた。
在宅の冷やかし組は、それらをいちいちあげつらってイジり、こじらせ連中は「ユイが嫌がってる証拠だ」と騒ぎたてる。
この頃になると、BMやユイメタルのことを本当に愛しているメイトからも、彼女の様子を心配する声が見受けられるようになっていた。
そしてBIG FOX FESTIVAL大阪公演の後、広島聖誕祭において、ユイメタルにドクターストップがかかったのである。
【ある妄想】
ここからは完全に個人的妄想である。
少し前に、元日本代表の女子マラソン選手が再度の万引きで逮捕・有罪となったニュースが世間を騒がせた。注目されたのは、彼女が「窃盗症」という聞き慣れない精神的な病状にあったという点だ。
全国大会で優勝するほどの一流アスリートであった彼女は、過酷な体重管理を強いられる中で、極度の「摂食障害」に陥っていた。食べては吐き、食べては吐きを長期に渡って繰り返していたようだが、その買い食いを抑制されると、食への欲求をコントロール出来なくなり、万引きに手を染めるようになっていったという。
出てくるワードが全て自分に経験のないものばかりで想像すらつかないが、どちらも女性に多いパターンなのだそうだ。
ニュースを見ながら、ある友人の話を思い出した。
幕張公演にも誘ったことのある女性で、娘を持つ母親なのだが、「ユイモアの筋肉質な身体つきがら、相当なレッスンとトレーニングを重ねていることがうかがえる....」という話題から、女性ならではの視点でこんな話をしてくれた。
曰く、成長過程の女の子はホルモンのバランスが不安定で、体型も変わりやすい。スポーツの選手などハードなトレーニングを積んでいる場合は、一時的に生理が止まったりすることもあるのだと。
重ねて断っておくが、これは女子マラソン選手のニュースと友人女性の話から、勝手に膨らませた妄想である。
アスリート並みのトレーニングとハードなライブツアーをこなすアイドルスター。
世界的な注目を浴びる思春期の多感な女の子。
ステージ上における三角形のシルエットを求められることからも、常に体型を比較され、近年は明らかにモアよりも身長が伸びていた....。
ユイメタルは、ド天然のスーや度胸と明るさが売りのモアに比べると、奥ゆかしさ(≒内向的)や完璧主義といった印象が強い。
もし彼女が摂食障害とまでいかなくとも、それに類するような状態に長くあったのだとしたら....。
そう考えると、これまでのBM周辺情報の中で、前述してきたような「あれは何だったんだろう?」というエピソードの数々が、一本の線として繋がった....ような気がした。
自分が普段見ているのは、ファンによる情報を漁るための国内外の掲示板や、それらのまとめサイトである。果たしてそんなものに当人達がどこまで目を通しているか分からないし、アミューズの警告文にあったような、公式SNSへの書き込みまでを全てチェックしてはいないので、なんとも言えない。
が、スーメタル二十歳のインタビューでは「最初の頃は、こんなのメタルじゃないという批判も多かった....」と話していたし、過去にもYouTubeのコメント欄について3人が語っている場面もあった。
BOH達の発言やブログ等でも、明らかにネットでのメイトの声を承知している様子もうかがえる。また、欧米ツアーに帯同したサポートダンサーの2人を国内メイトは「筋肉姉さん」、海外では「マッスルシスターズ」と呼んでいたことも、直後のファンイベントで佃井皆美は触れていた。
重音部時代、まだ小学生だった2人は、その小さな身体で「息が出来なくなる」ほどの、「あばらが痛くなる」ほどのライブを必死でこなしていた。そして中学生でありながら、文字通り世界を駆け巡り、灼熱の野外ステージ、寒風吹き荒れるフェス、低酸素の高地、蒸し風呂状態のホールで、青春の全てをBMに捧げてきたのだ。
日々、成長期の身体は変化し、食事にも気を遣いながら、アスリートレベルの体力作りと体調管理が求められた。アスリートならそれだけでいいが、彼女達はそのビジュアルにもハイレベルなものが要求される。
ネットでいちいち「太った」「痩せた」「背が伸びた」と指摘されることを、気にするなと言われても気にならない年頃ではないだろう。
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ある日、とうとう動けなくなった。大切な大切なスーちゃんの聖誕祭に、ドクターストップがかかってしまった。
みんなは「大丈夫だったよ。ファンのみんなが支えてくれたよ。今は自分の身体のことだけ考えて」って言ってくれたけど、取り返しのつかないことをしてしまった。
第7章は今まで以上に頑張ろう。迷惑をかけたみんなに、心配してくれたファンに恩返ししなきゃ。
その後、復調してレッスンもリハもこなしていた。ところがツアーの開幕が近づくにつれ、広島の記憶が甦る....。そして再びの欠場....。
「私、今度はやれる。次は行かせて」
「無理しなくて大丈夫。お父さんとMIKIKO先生が、いつでも戻れるフォーメーションにしてくれたから。万全になるまでしっかり治して」
株主総会で畠中社長は言った。「広島のときは本当に体調が悪くて。今は良くなっている。幕張で復帰するか?そうかも知れないし、そうでないかも知れない」と。
彼女の症状を公表することは、現在のBMの危機的状況や、ライブアクトの急な変更に理解を求めるには有効だろう。しかし10代のユイメタルにとってどうか?
なら、別のものにすり替えて虚偽の理由を発表するか?そんなことはアイドルの世界では99%まかり通っている。
場合によっては架空のストーリーで感動を誘い、それでひと稼ぎ出来る。
しかし、アミューズはユイメタルのプライバシーに配慮しつつ、体調が万全になるまで待つという選択をした。批判も浴びた。一時的に株価も下がった。それでも水野由結という将来ある一人のアーティストを守る為、何も語らないという姿勢を貫いたのだ。
およそ10ヶ月の空白期間。ダークサイドはすでに進行している。今の自分にあのステージが務まるだろうか?スーちゃんやモアに追い付けるだろうか?
元気になったはずなのに、日本公演が近づくと....
同じことの繰り返しだった。
「大丈夫だよ。いつまでも待ってるから。焦らなくていいよ」
ううん。これ以上はダメ。だって、ファンのみんなが怒ってる。お父さんやスーちゃんまで酷いこと言われてる。
「そんなの見ないの!気にしちゃダメ。会場に来てくれてるファンの人たちは温かいんだよ。知ってるでしょ?」
........思い出せない。私が知ってるファンの人たちはネットの中で怒声を上げてる....
「そんなのファンじゃない!!」
でも........
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日本ツアーも終わり、ユイメタルの脱退表明からひと月が経った11月21日。ギミチョコの作曲者・上田剛士がユイメタルを労うツイートを上げた。
Instagram post by OCEAN • Dec 20, 2018 at 7:12am UTC
脱退が発表された時には、各方面からの驚きや残念がるツイートはあった。関係の濃い彼が、ひと月も経ってからわざわざツイートしたのは、ある程度の詳細を知るに至ったからではないか?
「まだ子供の年齢の彼女達が世界ツアーをやる事はみんなが考える以上にとても大変な事」
これはユイメタルに向けたものではない。彼の立場なら、間接的にでも本人にメッセージを贈ることぐらい出来るはずだろう。
「みんなが考える以上に」
みんなとは、メイトか、冷やかしファンか、こじらせか。
好き勝手言ってるお前らに何が分かる? 国内のビニールハウスで活躍してるグループとは訳が違うんだ。分かってやれよ!
そんなふうに読めるツイートだった。
それでもなお、彼女達がこれについて発言することはないだろう。BMがその想いを伝える手段は、SNSでもトーク番組でもない。ライブだけなのだから。
※続く