BABYMETALの2018年を振り返る①
①
2018年はBABYMETALにとって激震の年だった。
正月明け早々、神バンドのギターの要として愛されてきた「小神」こと藤岡幹大の急逝....。
前年12月のユイメタル欠場の余波に追い討ちをかけるような信じ難い悲報に、世界中のメイトは何が何だか分からぬほどの衝撃に打ちのめされた。
その後も続いたユイメタルの不在....そして脱退....。
この2つの出来事は、そう簡単に拭えるものでも、補えるものでもない。
ある意味、そのまま空中分解してもおかしくないほどのダメージを負いながら、BABYMETALは本来の形をかなぐり捨て、まさに這いつくばるように、ROAD of RESISTANCEを歩み続けた。
広島公演以来、世界中のメイトの間であらゆる噂や憶測、また悪意に満ちた風評が交錯してきたが、真相が分からず終いの現在もそれは続いている。
例に漏れず自分も様々な妄想を膨らませてはいたが、ただ一点、「ユイメタルは必ず復帰する」ということだけは100%の確信を持って断言していた(その根拠については後述する)。
幕張でその希望は脆くも打ち砕かれた。
けれど、初上陸のオーストラリアで見せた新生(?)BABYMETALの圧倒的な闘いっぷりは、ネガティブな流言を有無もなくねじ伏せてしまった。
ダークサイドとは何だったのか?
CHOSEN SEVENとは何だったのか?
今一度、一連の流れを振り返ってみたい。
【ユイメタル脱退までの経緯】
2017年12月、広島で開催されたスーメタル二十歳の聖誕祭におけるユイメタルの欠場は、ドクターストップによるものと発表された。当初、これはインフルエンザ等の一時的な体調不良だという噂を誰もが信じていた。
けれど公演後、その病状や快復したかどうかという報告すらないまま翌年4月のFOX DAYを迎え、第7章ダークサイドの予告が発表される。
その内容が物議を醸す中、5月のアメリカツアーがスタートし、初日のミズーリ州・カンザスシティ公演が幕を開けると、そこにユイメタルの姿はなかった。
事前に何のアナウンスもないままの強行姿勢に、ファンからの疑念と批判が殺到し、プロモーターの5Bマネジメントからは、体調不良によるユイメタルのツアー不参加と、現在もメンバーの一員であるという旨のコメントが流れたものの、それ以上の詳細も、BM公式からの説明も一切ないままだった。
丸山未那子と佃井皆美の2人をサポートダンサーに加えた4人体制の欧州ツアーは、その衣装やメイク、何よりユイメタルを置き去りにするような違和感から、多くの批判と中傷がネットを揺るがした。
欧米ツアー後の6月26日、アミューズ株主総会でこれに関する質問が乱れ飛んだが、畠中社長は「水野由結は現在もアミューズ所属のアーティストである」こと、広島以来の体調に関しては「順調に快復している」ことなど限定的な回答に終始し、ユイメタルの復帰についても「あるかも知れないし、ないかも知れない」という、非常に曖昧な物言いに徹した。
そしてついに、ユイメタルは一度もステージに姿を見せることのないまま、10月の日本公演を前に脱退発表に至ったのだった。
【第7章の予告】
2018年4月1日のFOX DAYにYouTubeにアップされたMETAL RESISTANCE 第7章の幕開けを告げる動画の内容は、次のようなものだった。
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「BABYMETALとは/
時空を超え/肉体を超え/思考を超え/メタルの銀河を旅する英雄の/メタルの魂の物語である
英雄の中に宿るメタルの魂は/復活 再生を繰り返し/
自分を信じる力 隣人を信じる力 光の力 闇の力/それら全ての力が/暗黒の闇の中に無限の力をもたらし/対立を超えてひとつになる時/英雄は超越者となるだろう
超越者は/宇宙の/そして天空の歌となって/我々のもとへと届くのだ
それこそが/時空を超えた神話/"METAL RESISTANCE"なのだ」
※ここで、METAL RESISTANCE EPISODE Ⅶの文字が現れる。
「光と闇/それは表裏一体であり/お互いに欠けることの出来ないバランス
それはMETAL RESISTANCEにおいても例外ではなかった
まるで正典と外典のように
我々が見てきた"光"
すなわち3つのメタルの魂の物語は/ある一面に過ぎず....」
※赤いフードとマントをまとった3人の人影が揺らぐ。
Instagram post by OCEAN • Dec 19, 2018 at 2:07pm UTC
「....もう一方では 知られざる"闇"/7つのメタルの魂/The CHOSEN SEVENの物語が存在したのだ....」
※同じく赤い衣装の7人が現れる。
Instagram post by OCEAN • Dec 19, 2018 at 2:08pm UTC
「新たな時代の幕開けが/今始まる」
※10人が横並びになる。
Instagram post by OCEAN • Dec 19, 2018 at 2:34pm UTC
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FOX GODの「お告げ」が難解で意味を読み取りにくいのはいつものことだ。とは言え、この動画はどう見ても「新メンバーの追加」と受け取れてしまう。
人影が7人であったなら、神バンドを含んだステージ上の演者の数は変わらないから、単に7人の衣装やスタイルが変わるだけとも取れた。けれど、合計10人となるとその仮説は成り立たない。
追加される3人はフロントメンバーなのか?それとも神メンバーなのか?で意見は分かれた。
ひと月後の5月1日。アメリカツアーの1週間前になって「新たなお告げ」が公式ページとLINEに発表された。
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「キツネ様より新たなお告げを授かった。
キツネ様に選ばれし、DARK SIDEの7人の勇者たち THE CHOSEN SEVEN が降臨するのだ。
知られざる闇の外典、METAL RESISTANCE EPISODE VII・WORLD TOUR 2018の幕開けと共に明らかになるだろう。
しかし、7つのメタルの魂は、同じ時空に存在するとは限らない。
いつ、どこで、誰が、どんな姿で現れるのか、それはキツネ様のみぞ知る」
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すでに多くのメイトが承知しているように、ダークサイドとCHOSEN SEVENの演出は、藤岡の死とユイメタルの不在に伴う措置だったと思う。
ただ、殆どのヒトが混同しているが、「7つのメタルの魂は、同じ時空に存在するとは限らない。いつ、どこで、誰が、どんな姿で現れるのか、それはキツネ様のみぞ知る」という一文は最初の予告動画にはなく、ツアー開始直前に加えられたものであるという点だ。
4月の予告動画の念押しのようにも取れるが、この時点で「新たなお告げ」とされており、この部分以外にさして新しい内容は含まれていない。
つまり、この時期になんらかの演出上の変更を余儀なくされる事態があったのではないか?
当時、サマーソニックを主催するクリエティブマンの清水社長がインタビュー記事の中で、サマソニ2018のブッキングについてこんな話を漏らしている。
「今年は根本的に初期のやり方に戻して、洋楽を中心にブッキングは進めていたけれど、やはり邦楽も重要だから、自分の中ではいいスロットを考えていたんですよ。でも、メインステージのセカンドでの枠で話を進めていたアーティストがいきなり発表前にダメになった時点で、このやり方はもうマズいなと思って。日本のアーティストは、オファーした後に何ヶ月も返事を待っていても、結局「スケジュールが調整出来ません」とか「出させてもらうけど他のフェスや自分達のツアーもあるんで、アナウンスはこのぐらいで」みたいなやり取りがあるんですよ」
(And More!4月12日掲載)
ドタキャンを喰らった恨み節にも聞こえるが、内容からしてBMのことである可能性が高い。サマソニ、そしてクリエティブマンとは浅からぬ縁も恩もある関係ながら、多少の不満を含んだような話ぶりなのは、キャンセルの理由がはっきり伝えられていなかったのではないかと思う。
さらに、当初は4月1日のFOX DAYから始まるはずだったTHE ONE会員の登録及び引き継ぎが、なぜか急きょ4月23日まで延期された。
これはやはり、この時期に何かあったと見るのが妥当に思えるのだ。
※続く